紙やシートへの動的液体浸透性測定

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  • 動的液体浸透性測定装置
  • PDA. C02 standard / EST12.2

超音波強度変化により、液体が紙やシート状の試料へ濡れる瞬間からの動的な濡れ、浸透を評価できます。
動的浸透過程を示す経時グラフが得られますので、原紙の品質や試験液の物性及びその相互作用を定量的に評価できます。

※PDA.C02の標準モジュールで、低粘度~中粘度液体用です。

※燃料電池のガス拡散層(GDL)の水分の浸透挙動の測定にも応用が期待されます。

原理

紙による超音波の透過性は、紙が液体を吸収すると変化します。
例えば濡れにより、紙と液体の界面での超音波の反射の減少によって、受信信号が増加します。

超音波透過強度の経時カーブから、樹脂吸収速度、表面サイズ度、表面の多孔性、印刷適性、接着特性、内部サイズ度やぬれ性のような紙の重要な特性が評価できます。
加えて、種々の試験液の物性、および含浸樹脂と化粧紙の相互作用のような液体と紙の相互作用を接触直後から評価できます。

◆標準モジュール(低~中粘度向け)

(1) サンプルを専用ホルダに両面テープで固定します。
(2) 測定を開始すると、試験液の入った測定部へサンプルが垂直に浸漬し、試験液に接触します。

 

◆低粘性~高粘性溶液(Max.150,000mPa.s)

(1) 超音波発信器を内蔵した測定セルの上面窪みに試験液をセットします。
(2) 超音波受信器を内蔵した測定ヘッドに両面テープで試験紙を固定します。
(3) 測定開始すると、測定ヘッドが落下して試験紙が試験液に接触します。
(4) 試験紙への液体の動的な浸透特性に応じて超音波の透過強度は経時的に変化し、受信器からの強度変化を経時グラフとして表示します。

仕様

型式 PDA. C02 standard PDA. C02 HVL
測定原理 超音波透過式  
試料寸法 50×90 mm 100×100 mm
測定エリア 10 mmφ及び35 mmφ 35 mmφ
試験液量 約590 ml(純水)、約170 ml(純水以外) 3.5 ml
用途 低~中粘度向け 低粘性~高粘性溶液(Max.150,000mPa.s)
測定間隔 約2 ms 約2 ms
タイムラグ 約8 ms以上(浸漬速度に依存) 約40 ms以上

アプリケーション

測定例:紙―水の測定によるサイズ度(疎水度)比較

一般のコピー紙は疎水性があります。
超音波強度が頂点に達すまでの時間(MAX時間)が紙表面のサイズ度に影響します。
MAX時間が小さいほうが濡れが速いことを示します。
最適なサイズ度、紙の印刷特性評価を行えます。
下記は国内、海外の市販のコピー紙を水で測定した例です。
MAX時間に差があります。紙のサイズ度把握に用いることができます。

 

 

測定例:紙―水+IPAによる表面細孔度評価

紙、板紙と接着剤の接着特性評価
接着特性が良い、普通、悪いもの3つの試料を測定しました。
最初の70ミリ秒の間にサンプル間のはっきりした違いを示しています。
良質のサンプルでは、カーブは鋭くすぐに落ち 込んでいます。
それは、非常に開いた表面構造であることを示しています。
この開いた構造が接着剤のよい定着をもたらしていると考えられます。

 

・紙製品、薄膜、フィルム等の樹脂吸収速度、表面サイズ度、表面の多孔性、印刷適性、接着特性、内部サイズ度やぬれ性評価
・Cobbテスト、HST、接触角測定等で差が得られない方へ。
・製紙:ぬれ性、表面サイズ度、でん粉含有量、塗工性、細孔構造等の紙表面物性評価
・紙・板紙と低~中程度の粘性試験液との接触による転写特性評価
・印刷適正評価(インクジェット、オフセット、グラビア、フレキソ)、紙―インク浸透性特性
・接着適正評価(接着剤、エマルション)
・塗工原紙の品質評価
・化粧紙の含侵樹脂吸収飽和点の決定
・新聞用紙のオイル吸収性
・プラスチックフィルム、シート、生地、電極、セパレーター、薄膜、薄層フィルム等の浸透性評価