【二次電池とは】仕組み/寿命/一次電池との違いなど…

【目次】

二次電池とは

二次電池とは、化学電池のうちの一つであり、充電と放電を繰り返して使用することができるもの(蓄電池、充電池、バッテリーなど)のことを指します。
化学電池は他に一次電池、燃料電池があり、一次電池とは放電が終われば使えなくなる電池のことを指し、
燃料電池は反応物質を外部から供給される電池であり、水素と酸素を化学反応で化合させて電気を取り出す装置のことを指します。

ここでは我々の扱う製品が多く活躍している二次電池について、代表的な『リチウムイオン電池(LIB)』を題材としてご説明いたします。

●リチウムイオン電池と呼ばれるための4 要素

 金属リチウム一次電池の二次電池化研究の過程で生まれたのが、リチウム二次電池とリチウムイオン電池です。
リチウムイオン電池は「リチウムイオン二次電池(または、リチウムイオン蓄電池)」とも呼ばれ、もちろん二次電池ですが、
リチウムイオン電池とその他のリチウム二次電池は何が違うのでしょうか。それはリチウムイオン電池の定義によります。
 一般に、リチウムイオン電池とは次の4 点を満たす電池とされています。

  • 1.負極活物質はリチウムイオンを吸蔵・脱離可能な炭素材料
  • 2.正極活物質はリチウムイオンを含有する金属酸化物
  • 3.電解液は非水系
  • 4.インターカレーション反応に基づく二次電池

 リチウムイオン電池以外のリチウム二次電池は、3.4.は満たしても、1.と2.のどちらか、
または両方が当てはまらないので、リチウムイオン電池とは呼ばれません。
(※1)

二次電池の仕組みをわかりやすく解説

ここでは二次電池の仕組み、原理について解説していきます。
先述の通り、我々の扱う製品が多く活躍している二次電池について、代表的な『リチウムイオン電池(LIB)』を題材としてご説明いたします。

●動作原理は双方向のインターカレーション

 リチウムイオン電池では、原理的に充放電の際に負極活物質の溶解・析出が伴いません。
リチウムイオンの吸蔵・脱離(インターカレーション)による酸化還元反応で発電しますので、基本的にデンドライトは発生しません。
 放電時、負極活物質からリチウムイオンが脱離し(酸化反応)、正極活物質に吸蔵されます(還元反応)。
負極で放出された電子は、外部回路を通って、正極に達し、そこで正極活物質に受け取られリチウムイオンが吸蔵されます。
充電時にはこれと逆の反応が可逆的に起こります。
(※2)

     

●リチウムイオン電池の主なセル形状

 主なセル形状としては、円筒形、角形、ラミネート型、ピン形の4 タイプがあります。

  • 円筒形

     1991 年にソニーが世界で最初に量産化したリチウムイオン電池が円筒形でした。
    最も低コストで生産でき、他の形状より体積容量密度が高くなります。
    ただし、複数の電池をパックにした製品では、円筒形ゆえにすき間ができて容量とエネルギーの密度が低下します。
     ノートパソコン、家電製品、電動工具、電動アシスト自転車、電気自動車など非常に多くの製品で使用されています。

  • 角形

     角形といっても厚さは薄く、スマートフォンや携帯電話(いわゆるガラケー)の電源として採用されています。
    円筒形電池の外缶が鉄製なのに対して、角形では軽いアルミニウムが主流です。
    スマホ以外では、モバイル音楽プレーヤー、デジカメ、携帯ゲーム機器、各種センサーや
    ウェアラブルデバイスなどの電源として用いられています。ハイブリッド車も角形です。

  • ラミネート型

     外装材が缶ではなくラミネートフィルムです。薄型で、軽量、製造コストも比較的安価です。
    重量に対して表面積が広く放熱性がすぐれており、電池の温度上昇を抑えることができます。
    そのため、ドローンや電動バイク、無人搬送車など、移動体用の電源として多数採用されています。

  • ピン型

     直径3.65 ミリ、高さ2 センチ、重さわずか0.5 グラムの非常に小さな電池です。
    パナソニックが開発・製造し、補聴器やワイヤレスイヤホン、リストバンド端末などの電源として使用されています。
    (※3)

     

二次電池の作り方 1.原料・調合・合成

●リチウムイオン電池の試作

ここでは一般的なリチウムイオン電池の試作に関して記載いたします。
有機系材料を用いたり、全ての材料を固体で構成する電池が開発されており、日々新たな技術が求められております。

活物質の合成と粒子化

負極:多くの場合、黒鉛(グラファイト)を用いられます。
正極:リチウムを含む金属酸化物が用いられ、組成により特性が異なります。

いずれも微細化は必要となり、ご用途に合わせた粉砕・解砕装置が必要となります。

電極ペーストの作成

電池特性と分散は親密な関係にあります。
導電助剤や、分散媒 等と合わせ、高い分散を有するペースト作成は必須事項となります。

電極の塗工と乾燥

ペーストの条件により、さまざまは方法の塗工装置の選択が必要となります。
乾燥に関しても、マイグレーションを抑えたい・乾燥速度を上げたい・など、様々な課題がございます。

電極の圧密>

エネルギー密度、電気的コンタクトを向上させるために必要な工程になります。
一般的にはロールプレスという連続式で行われますが、1軸の圧縮式など、デバイスに合わせ選択が必要になります。

組立(切断、積層、密封)・試験

得られたい目的により、切断一つをとっても多くの方法がございます。
また、試験に関しましても繰り返し特性試験をはじめ、安全に関する試験も必須となります。

一次電池と二次電池との違いは?メリット・デメリット

ここでは、一次電池と二次電池の違いについて簡単に見てみましょう。

●化学電池は一次電池と二次電池に分類

電池には、リチウムイオン電池や乾電池以外にも非常に多くの種類があります。
それらの分類方法としては、まず根本原理から、化学電池と物理電池に大別するのがふつうです。

 化学電池とは、化学反応によって電気を発生させて取り出す装置をいいます。乾電池やリチウムイオン電池は化学電池です。

 化学電池はさらに、一次電池、二次電池、燃料電池に分類されます。
一次電池とは一度だけの使い切りタイプの電池をいい、放電が終了すれば廃棄されます。
私たちがリモコンや時計に使っている電池は、多くは一次電池のアルカリマンガン乾電池などでしょう。

もちろん、二次電池のニッケル水素電池などを使用している人もいるでしょうけれど。
その二次電池とは、使い終わっても充電することで何度でも再利用可能な電池をいい、
充電池、蓄電池とも呼ばれています。リチウムイオン電池は二次電池です。
(※4)

では、代表的な二次電池である『リチウムイオン電池(LIB)』のメリット・デメリットはどんなことがあるでしょうか。

メリット…エネルギー密度が高く、他のニッケルカドミニウム電池やニッケル水素電池と比べて同じ体積・重量で2倍、3倍のエネルギー密度を得られる。
 そのため小型化、軽量化を図ることができ、携帯用の小型機器のバッテリー等に多用される。

デメリット…長時間充電を満タンにしたまま放置したり、温度変化が激しい環境では劣化が早まる。
 エネルギー密度の高さゆえ、ショートしてしまうと、発熱しバッテリーが極度に膨らんだり発火したりする恐れがある。

メリットを生かすためにも、デメリットをしっかりと理解して安全措置や管理を怠らないようにする必要があります。

二次電池の寿命は?年数は?

ここでは二次電池の寿命、年数に関して解説していきます。
先述の通り、二次電池については代表的な『リチウムイオン電池(LIB)』を題材としてご説明いたします。

正常に使用していても、電池は経年劣化していき、サイクル寿命を迎えます。
ここでいう劣化とは「自然に起こる充放電容量および電圧の低下」です。リチウムイオン電池の主な劣化要因は以下の4 つです。

  • 電極の変形と活物質のはく離

     リチウムイオンの吸着・脱離のたびに、電極活物質の結晶構造は大なり小なり変形します。
    その変形がサイクル回数を重ねるうちに不可逆となり、ついには一部がはく離します。はく離した活物質は電池反応に関与しません。

  • 電極表面被膜(SEI)の成長

     SEI は電池反応にプラスの効果もありますが、経年で厚みを増すと電極と電解質の密着性が低下し内部抵抗が増加します。また、電解液も減少します。

  • リチウムイオンの移動量の減少

     リチウムイオンが金属リチウムとして電極表面に析出し、それが増えると、電池反応の主体であるリチウムイオンが減少します。

  • バッテリーマネージメントシステム(BMS)の劣化

     BMS は回路とソフトウェアからなりますが、その精度が落ちてくると、セルバランスなどの機能が有効に働かず、電池の性能が低下します。

 なお、こうした経年劣化に加えて、フル充電・フル放電状態での保存や、高温多湿環境での保管などは劣化を早めることになります。(※5)

二次電池の種類・性能は?比較表で解説

ここでは二次電池、リチウムイオン電池の種類・性能に関して比較表を用いながら解説していきます。

●リチウムイオン電池の主な正極活物質

 主な正極活物質は下の1.~5.の5 種類です。各電池は、一般に正極活物質の物質名を冠した名称で呼ばれています。(※6)

リチウムイオン電池の種類

  電池名 正極活物質 負極活物質 交渉電圧
(または平均電圧)
(V)
重量エネルギー密度
(Wh/kg)
サイクル寿命
(放電深度100%)
(回)
1 コバルト酸
リチウムイオン電池
コバルト酸リチウム
LiCoO2
黒鉛 3.7 150~240 500~1000
2 マンガン酸
リチウムイオン電池
マンガン酸リチウム(スピネル構造)
LiMn2O4
黒鉛 3.7 100~150 300~700
3 リン酸鉄
リチウムイオン電池
リン酸鉄リチウム(オリビン構造)
LiFePO4
黒鉛 3.2 90~120 1000~2000
4 三元系
リチウムイオン電池
三元系(NMC系)
LiNixMnyCozO2
黒鉛 3.6 150~220 1000~2000
5 ニッケル系
リチウムイオン電池
ニッケル系(NCA系)
LiNixCoyAlzO2
黒鉛 3.6 200~260 約500

リチウムイオン電池長所・短所

  電池名 長所・短所
1 コバルト酸リチウムイオン電池 ・リチウムイオンの標準電池として広く普及
・発火の危険性があり、車載用には使われていない
2 マンガン酸リチウムイオン電池 ・安全性が高く、車載用電池の主流
・急速充電・急速放電ができる
3 リン酸鉄リチウムイオン電池 ・安価でサイクル寿命、カレンダー寿命が長い
・公称電圧が他のリチウムイオン電池より低い
4 三元系リチウムイオン電池 ・電圧がそこそこ高く、サイクル寿命も長い
5 ニッケル系リチウムイオン電池 ・エネルギー密度は高いが、耐熱性に課題が残る

二次電池って回収してくれるの?

ここでは不要になった二次電池や処分にこまった二次電池の回収に関して説明していきます。
先述に同じく、二次電池の種類としてもっとポピュラーな『リチウムイオン電池(LIB)』を題材としてご説明いたします。

●リチウムイオン電池のリサイクル

 自治体の方針に従うことが大原則ですが、一般に電池の廃棄方法は種類によって3 パターンに分かれます。
ただし、どんな電池でも基本的には機器から取り外して電池回収ボックスや回収協力店に収めるのが最良の方法です。

  • 乾電池やリチウム一次電池などは、一般不燃ゴミとして捨てられます。
    その際、必ず端子部分などをセロハンテープなどで絶縁します。
  • ボタン形電池は不燃ゴミで廃棄できません。
    微量の水銀が使用されている製品があるため、銅などとともに回収されリサイクルされます。
  • リチウムイオン電池やニカド電池、ニッケル水素電池などの小型二次電池は「資源有効利用促進法」によって
    回収・再資源化が義務づけられており、スリーアローマーク(リサイクルマーク)が印刷されています。
    コバルトやニッケルなどの金属は回収され再利用されます。
    (※7)
     

次世代二次電池への期待

ここでは次世代二次電池に関してです。
二次電池が今後どのように進化し技術が発展していくのか、期待されているのかまとめてみましたので参考にしてみてください。

●ポストLIB のトップ5

 次世代二次電池の研究では非常に多くの可能性が試されており、候補電池の種類は多岐にわたります。
目指す性能アップを、EV を例にとって図5-1-1に示しました。
なお、各項目の研究対象は、主として電解質、正極材、負極材の3 つに分かれます。

 現在研究開発中の次世代二次電池の中から有望視されているトップ5 をあえて選ぶとすれば、
1.全固体電池、2.リチウム硫黄電池、3.金属空気電池、4.ナトリウムイオン電池、5.多価イオン電池、となります。
ほかにもキラリと光る電池があり、どれが次の覇権を握るかは予断を許しません。

  • 1.全固体電池とは固体電解質を用いた二次電池

     全固体電池とは、電池を構成するすべての部材が固体である電池のことをいいます。
    とはいえ、一般に電池材料の中で液体なのは電解液だけなので、「固体電解質を用いた二次電池=全固体電池」ということになります。

     実をいえば、これまでも実用化された固体電解質の電池はあります。NAS電池(ナトリウム硫黄電池)の電解質は、ファインセラミックスです。
    しかし、電極活物質が液体なので全固体電池ではありません。

     過去に唯一商品化された全固体電池はヨウ素リチウム電池です。負極に金属リチウム、正極にヨウ素が用いられているものの、もともと電解液とセパレータがありません。
    というのも、リチウムとヨウ素が出会うと反応してヨウ化リチウム(固体)ができ、これが電解液とセパレータの役目をするからです。
    固体電解質ゆえに安全性が高く、心臓ペースメーカーの電源に広く用いられてきました。ただし、ヨウ素リチウム電池は一次電池です。
    (※8)

  • 2.リチウム硫黄電池は夢の金属リチウム二次電池

     リチウムイオン電池(LIB)の数倍も大容量の電池になることがわかっている金属リチウム二次電池は、
    充電時にデンドライトが発生することからこれまで製品化できず、代わりにLIB やリチウム二次電池が作られてきました。

     しかし、金属リチウム二次電池の実用化をあきらめない世界中の研究者たちが開発を続けているのが、
    負極に金属リチウム、正極に硫黄化合物を用いたリチウム硫黄電池です。
    作動電圧は約2V とLIB より小さい反面、硫黄の理論容量(1675mAh/g)は、LIB で主流の正極活物質・コバルト酸リチウムの理論容量(274mAh/g)の6 倍以上もあります。
    (※9)

  •     
  • 3.リチウム空気二次電池

     金属空気電池は、一次電池として長い歴史を持っています。そもそもは、乾電池に必要な二酸化マンガンが第一次世界大戦で不足したために、
    1907 年にフランスで亜鉛空気一次電池が考案され、鉄道信号や通信用などの電源として大型電池が作られました。今はボタン電池が主流で、補聴器の電源などに使用されています。

     金属空気一次電池の負極材料には、亜鉛のほかにカルシウムやマグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、そしてリチウムなど、種々の金属が利用可能です。
    正極活物質に空気中の酸素を用いますが、酸素を通すだけでは反応が起こりにくいため、酸素還元反応触媒を使用します。
    (※10)

  • 4.ナトリウムイオン電池

     ナトリウムイオン電池は、レアメタルで高価なリチウムを使わず、リチウムイオン電池(LIB)と同じ原理で充放電する二次電池です。
    レアメタルに対してコモンメタル(汎用金属)と呼ばれるナトリウムは安価で、海や陸に無尽蔵にあります。
    現在、全固体電池と並んで最も実用化に近づいている次世代電池の1 つであり、LIB と比べて、重量エネルギー密度はまだ届かないものの、サイクル寿命はすでに上回っています。
    (※11)

  • 5.多価イオン電池

     リチウムイオン電池(LIB)をはじめ、ナトリウムイオン電池やカリウムイオン電池は、どれも1 価のイオン(Li+、Na+、K+)が電荷を運びます。
    1個のイオンがプラス1 の電荷を運ぶのですが、マグネシウムイオン(Mg2+)やアルミニウムイオン(Al3+)、カルシウムイオン(Ca2+)などの多価イオンは、
    1 個のイオンがプラス2 以上の電荷を運びます。つまり、多価イオン電池はLIB などより2 倍、3 倍大容量の二次電池になる可能性があるのです。

     ほかにも、安全性が高く、体積エネルギー密度が大きいなどの共通した長所があり、資源量が豊富でLIB より製造コストが安いことも大きな利点です。
     その反面、作動電圧が劣り、多価ゆえに電解液中や電極中でのイオンの移動速度が遅く、瞬発力がないという欠点があります。
    また、金属負極にした場合、1 価のイオン電池よりはデンドライトが発生しにくいとはいえ、電池によってはその危険性が残ります。
    現状では、より安全で、より性能を高められる電解液や電極材の探索が続いています。
    (※12)

  •      

二次電池についてよくある質問

Q.二次電池と一次電池の違いを教えて下さい。

【回答】一次電池は使い切りタイプ。二次電池は充電して繰り返し使えるタイプのものです。
詳しくはコチラを参照ください。

Q.二次電池の寿命を教えて下さい。

【回答】サイクル寿命で500~2,000と幅があり、また劣化によっても寿命は短くなります。
詳しくはコチラを参照ください。

Q.二次電池の仕組みを教えて下さい。

【回答】リチウムイオンの吸蔵・脱離(インターカレーション)による酸化還元反応で発電します。
放電時、負極活物質からリチウムイオンが脱離し、正極活物質に吸蔵されます。
負極で放出された電子は、外部回路を通って正極に達し、そこで正極活物質に受け取られリチウムイオンが吸蔵されます。
充電時にはこれと逆の反応が可逆的に起こります。
詳しくはコチラを参照ください。

引用書籍について

(※1)白石 拓『最新 二次電池が一番わかる (しくみ図解) 』技術評論社,2020年 P.140
(※2)前掲書 P.140-141
(※3)前掲書 P.144-145
(※4)前掲書 P.10-11
(※5)前掲書 P.168-169
(※6)前掲書 P.146
(※7)前掲書 P.168-169
(※8)前掲書 P.178-179
(※9)前掲書 P.182
(※10)前掲書 P.184
(※11)前掲書 P.186
(※12)前掲書 P.188